チャプター 79

エミリーは上の空で窓を拭いていたが、内心ではケイリンのオフィスを覗き見たくてたまらなかった。残念ながら、彼女のボランティアの担当業務にその場所は含まれていない。

誰の目も向いていない隙に抜け出し、こっそり忍び込むしか手はないだろう。

だが、他のボランティアや職員、それに子供たちの目をすべて誤魔化すとなれば、至難の業だ。

いっそニーナを見つけ出し、少し話でもしたほうがいいのかもしれない。

エミリーがそんな考えを巡らせていた矢先、エントランスのほうで騒々しい気配がした。

身なりの良い男女が、車椅子を押して入り口に現れたのだ。

車椅子には小柄な男の子が座っていた。ひどく痩せ細って弱々しく...

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